萌えイラストの塗り方について

05 07, 2016 | Tag,アニメ,イラスト

画像: https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Wikipe-tan_head.png


萌え絵の塗り方について持論を展開してみようと思う。わたしの持論が正しかろうと間違っていようと理屈で絵がうまくなるなんてことはないので、軽い気持ちで楽しんでもらえればと思う。


萌え絵の3つの方向性

いわゆる萌えイラストの塗りは3つの方向性に大別できる。アニメ塗り、ギャルゲ塗り、厚塗りの三種類だろと思ったあなた。それは塗りの手段であって本質ではない。今回はどう仕上げるとどういう印象を与えるかを考えていく。

魅力的なイラストは必ずしも同じ印象には収束しない。カードゲームのイラストのようなきらっきらしたイラストも魅力的だし、水彩のような透明感のあるイラストも魅力的でしょう。しかしうまい塗りと下手な塗りの違いはわりと簡単に説明できる。「べたっとした印象」、「のっぺりした印象」がへたくそな塗り。これは初心者にありがちな塗りで、逆に「視覚的にざらざらした印象」を与える塗りがうまい塗りだ。もちろん構図、デッサン、色彩センスは別にして考えてもらいたいけど。

「視覚的にざらざらした印象」とは

漫画の描き方なんかを勉強すると「線画にメリハリをつけなさい」と真っ先に言われる。ぴんとこない人は「線画にメリハリ」で画像検索すればすぐにどういう意味か分かると思う。ずっと同じ太さの線で絵を描いていると「べたっとした印象」ののっぺりした絵になる。線に強弱をつけることで、絵に視覚的なざらつきが生まれる。たとえばロッククライマーは壁の出っ張った部分を掴みつつ、岩肌を登る。イラストレーターは視覚的にザラッとした部分を描き、見る者がしっかりと絵をつかめるようにしてあげる。視覚的につるつるした絵ではせっかくの構図、作画を正当に評価してもらうことも出来ない。

ではその「視覚的なざらつき」をどう表現するかというと、明度と彩度、そして色相だ。なんだよ明暗をしっかりと意識して補色と友好色を効果的に使えと言っているだけじゃないか。基本じゃないか。全くその通りです。でもそこからもう一歩踏み込んでみようと思う。この記事で言うところの「イラストの3つの方向性」は「透明感」、「重厚さ」、「淡い印象」の3つ。「視覚的ざらつき」をテーマにしつつ、この3種類の方向を意識しながら解説してみる。

アニメ塗り

このアニメ塗りはちょっと例外。塗りを魅せるというよりはむしろ線を見せるための塗り方。今回のテーマ「視覚的なざらつき」という視点から考えると、線画のざらつきを際立たせるための塗り方といえる。キャッチーな印象を与え、そのため遠目からだとかweb上のサムネからでも目を引く絵になるが、あっさりしてしまい余韻は引きにくい。

とっつきやすく手本が多い。そして見れるレベルに達するまでにかかる期間が短い。筆が速く、生産性が高い。しかしハードルをあげている点として、個性が出しにくいというのがある。完全に構図と作画の勝負になる。

つまり本当に絵がうまいひとしか大成できない。アニメ塗りで成功しているイラストレーターはアニメーターであることが多い。「物語シリーズ」の「渡辺明夫」さんや「俺妹」の「かんざきひろ」さんもアニメーターだし、股監督こと「ビビパン」の高村和宏さんは監督までこなしている。アニメ塗りで名前が売れているイラストレーターは本当にうまい人だと思っていい。

ギャルゲ塗りはアニメ塗りの亜種だが、もう少し個性が出しやすくなる。デート・アライブの「つなこ」さんや、織田信奈、ハイスクールDxDの「みやま零」さんがこれにあたると思う。後に説明する「色相塗り」による「視覚的なざらつき」を乗せることもしやすくなる。ちなみに例に出しているイラストレーターさんはわたしの趣味です。

色調塗り

色調というのは明度と彩度のことだが、わかりやすくするため一緒くたに「明度」とする。ここで話すのは明度にメリハリを持たせた塗り方。極基本的な塗り方。美大生なんかはひたすらこれの訓練をやらされている。今回は「視覚的なざらつき」をテーマにしているが、とにかく明度のコントラストが高いほうが視覚的にひっかかる。この理屈でいくとベタ塗りを多用した漫画絵に収束してしまうが、はっきり言ってそういうこと。そこに色彩センスと立体感を乗せていくとどんどん個性的な塗りになる。極普通のことだけど初心者はとにかくこれができない。

例えば服を淡い青で塗って、服の影色に暗めの青を乗せる。この影色が極力黒に近いほうが目を引きますよ、というのがわたしの主張。だけど初心者がそれをやるとどうも「塗っている本人が」違和感を感じてしまう。それで不自然でない色を探すと、明度のメリハリがなくなる。そしてべたっとした印象になる。のっぺりした絵の完成。これが初心者Aパターン。Bパターンはメリハリが大事なことに気がついているが暗めの影色と地の色の極端な色調の差を埋めようと思って、グラデーションにしてしまう。たぶん石膏デッサンかなんかをイメージしてしまう。をするとなんか3DCGみたいな味気ない質感が再現できる。どちらもなんだかのっぺり、べたっとしてしまう。グラデーションは結局ざらつかない。滑らかでとぅるっとぅるっなお山にしかならない。

「なに? じゃあ実際に滑らかでとぅるっとぅるな太ももをざらざらに描けというの?」とおっしゃるかもしれないが、そこが問題なんだよ。最初に言った「理屈で絵がうまくなるかというと、そうでもない」ということ。ただ実際のところアニメ塗りはグラデーションなしでとぅるとぅるな太ももを表現するんだからグラデ無しで描くことも不可能ではない。むしろアニメ塗りより選択肢が多い。そこが個性の出しどころ。

「岸田メル」さんがインタビューで「デジタルの情報量はアナログの絵にかなわない」という趣旨の発言をしている。しかも何回かしていた。つい去年も「いらこん」で言っていたように記憶している。どういう意味でおっしゃっているのかは本人に聞いてみたいところだが、つまりこれはわたしの解釈なのだが、紙やキャンバスに絵の具で塗ればどうしてもざらざらになるという意味とも捉えられる。きれいなグラデーションに塗ってしまうと絶対に安っぽくなるものなのだ。この辺りはかなりミクロな意味での「視覚的なざらつき」の話になると思うが。

ちょっと話は戻って、初心者にありがちな失敗パターン。濃い目の影色を乗せたときに、塗っている本人が塗りながら違和感を感じてしまうというのはある意味で成功。それこそが「視覚的ざらつき」なのだから。漫画、とくにジャンプなんかの週刊誌の漫画家さん達はほとんど線画と黒ベタだけで絵を描いているのだから、影がどんなに濃くても不自然になるなんてことはない。ちょっと乱暴だがそれくらいの気持ちを持っていていいと思う。大胆な色調(明度と彩度)や色相の変化を如何に自然に見せるか。塗りはこの作業に尽きる。影を載せたときにどうも「濃すぎるのではないか」という違和感が頭をよぎってしまうのは大抵は、最初に濃い色を乗せたのが一箇所だけだからだ。部分をきっちりと塗るのではなく、まずは全体を見ながらそこかしこに色を置いてみるべき。グラデーションにしたいならばタッチを残すという手法を考えてみるべき。

つるつるがリアルという固定観念は捨てる。「フォト・リアル」な絵はつるつるではない。産毛、毛穴、肌荒れ、皮膚の下の静脈を再現してこそのフォトリアルだ。19世紀、リアルではカメラに勝てないと悟ったクロード・モネやルノワールからタッチを残すという印象派の手法が生まれた。ちなみに印象派以前の17世紀、ルーベンスやレンブラント、フェルメールの時代にはフォトリアルだが人物の周りを異様に暗くしてメリハリをつけるという手法が用いられていたように思える。ルネサンスまで遡るとかなり明るくなる。

透明感のある塗り

そんなわけで明度の幅が大きいほと「視覚的なざらつき」を表現することができる。そのなかで個性を探っていく。水彩のような淡い印象の絵を「透明感」と表現することもあるが、ここでは「透き通るガラスのような印象」を透明感とする。「アウトブレイク・カンパニー」の「ゆーげん」さんや、「ファンタジスタッドー」や「放課後のプレアデス」の「anmi」さんの作風をイメージしている。淡い中にアクセントの「暗度」が効いているのが透明感。逆に全体的に淡いのは「淡い印象」で、これは後でお話しする。

なるべく明度の幅を使って塗ることが良いと話した。これが基本だがすこし工夫して、全体的に明るい方へ偏らせて、暗い色をアクセントに使うと、これでも明と暗の幅は保ったまま個性が出せる。「水晶 玉」で画像検索をかけてみると占いに使えそうな球体の画像がたくさんでてくる。改めてみてみると透明な球体なのにものすごく暗い色が1割くらい含まれていることに気がつくと思う。これが「透明感」のある塗りの目指すところ。かなりセンスが問われると思う。残念ながらわたしにはこれ以上透明感について語るセンスがない。

重厚な塗り

透明感の逆。いわゆる厚塗りで海外のイラストレーターによる見られる。わたしのフェイヴァリットからあげるなら「キムヒョンテ」さんかな。透明感が「暗」をアクセントに使う塗りだとすれば、こちらはハイライトをアクセントに使う。いわゆる萌えイラストにはなりにくいが美術の基礎の理解が要求される。勉強しやすいというのはメリットかもしれない。

淡いまたは華やかな塗り

こういうと分類が漠然としてしまうが、色相をアクセントに使う塗り方。明暗や彩度の変化に頼らずに、そこらじゅう様々な色をちりばめることによって「視覚的ざらつき」を表現する方法。落ち着いて塗れば「いわさきちひろ」さんのように淡い水彩になるし、過激に攻めれば「ロマンシングサガ」の「小林智美」さんのような華やかな絵になる。

「視覚的ざらつき」を表現する方法として今までにあげた2つは「線画(輪郭)」と「色調(明度と彩度)」。そしてもうひとつの方法がここで語る「色相」。かなり色彩センスが問われる塗り方で、ついつい色相だけでなく彩度をいじってしまいがちになるが、それをやってしまうとのっぺりとした絵になってしまう。

淡い塗りというのは「視覚的なざらつき」とまったく逆行している。ここで説明している色相塗りは淡い塗りに「ざらつき」を与えるために大胆に色を使う塗り方。やはり淡い色だけで「ざらつき」を表現するのは難しく、この手の淡い塗りでアナログが好まれるのは色調塗りの項で語ったように紙のざらつきや絵の具のランダム性を借りるためなのだと思う。水彩の色がぶつかったところでは一見すると汚く混ざった色が良いアクセントになったりする。本当に絵が好きな人や絵を描く人に好まれるような気がする。

締め

「透明感」、「重厚さ」、「淡い印象」の3つは全く相容れないというわけではない。もちろんどれかを突き詰めてもいいが、組み合わせながら個性を出していくことになると思う。たとえば「かんなぎれい」さんはエロゲ塗りをベースにしながら、線画を控えめにしてかなり彩度が高く、キャッチーで淡い印象を与える絵を描いている。これが個性だと思う。

これを読んで透明感のある絵がかけるようになるかというとそんなことはない。知識だけでうまくなるならば練習なんか必要ない。私は初心者向け講座なんて気休めにもならないと思っているし、この記事も雑記やエッセイ程度に考えてほしい。

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元バックパッカーの引きこもり、世界に飛び出す引きこもり。当初は役立つ情報を、と思っていたんだけど自分の興味しか書けないね。

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