バビルサの牙はいずれ自らの頭蓋骨を貫通するという都市伝説

07 20, 2017 | Tag,雑記,生物

画像: https://en.wikipedia.org/wiki/File:Babyrousa_celebensis_-_Crane.jpg


バビルサの牙はいずれ自らの頭蓋骨を貫通するという噂がある。どうも眉唾な感じがしたのでいろいろ調べてみたところ、全くのでたらめとは言えないが都市伝説の域を出ない、と言う結論に達した。


バビルサの頭蓋骨はお土産としても人気があるので画像検索をかけてみればたくさんの写真がでてくると思う。見ての通り、普通は眉間に届く直前にくるりと巻き込むので刺さらない。実際にバビルサの牙が頭蓋骨に刺さっている標本はごく限られた例しか確認できなかった。現物の存在が確認できた標本はジャワ島のスラバヤ動物園の物と、スウェーデンのヨーテボリの自然史博物館の物の2例だけ。

スラバヤ動物園のものは飼育されていた個体らしい。スウェーデンの物は1900年代の初頭にインドネシアを探検したウォルター・カウダーンが持ち帰った60の標本のうちの1つ。しかしいずれも、自らの牙が死因となったのかどうかははっきりしない。

つまり、バビルサの牙が自らの頭蓋骨に刺さる可能性はごくわずかに存在する。しかし、それがもとで死に至ったケースがあるかどうかは不明。牙が頭に刺さることは特異な例で、奇形として処理できるレベルの話だという印象を受ける。実際BBCのドキュメンタリーでバビルサが紹介された際にも、牙が自分に刺さるなどという説明はなかったし、そんなことが書いてある図鑑も今のところみつけられない。

そもそもこの都市伝説の発端はアイルランド生まれのイギリスの作家、オリヴァー・ゴールドスミスが1774年に記した"A History of the Earth and Animated Nature"だと考えられている。一巻のバビルサ(babiroussa)の項目には以下のようにある。

"...but the two upper rise from the upper jaw, rather like horns than teeth; and, bending upwards and backwards, sometimes have their points directed to the animal's eyes, and are often fatal by growing into them"

「上の2本の牙は上あごから伸びており、これは牙というよりもまるで角のように見える。それが上に伸び、そのまま後方へと曲がっていく。稀にこの牙は、バビルサの目に刺さり、そのまま伸び続け、この動物を死に至らしめる」

しかし、前述のように実際には眉間に届く直前にくるりと巻き込むので刺さらない。普通は。もともとが都市伝説程度に考えられていた話だったが、2010年に海外の生物系のブログで盛り上がり、結果スウェーデンに現物があることが発覚、日本でも話題になった、という話のようだ。つまり「滅多にそんなことは起こらないことを前提に例外を探してみたら、例外が見つかった」のだ。

それはいいとして、日本では「バビルサが自らの牙で命を落とす」ことが普遍的な事実のように語られている節がある。曰く、「自分の死を見つめる動物」という別名がある哲学的な動物なんだそうだ。そんな別名は英語ソースでは発見できなかった。これは完全に日本で一人歩きしたイメージではないかと思う。「自分の死を見つめる動物」という別名のソースをご存知の方がいらしたらコメントをください。

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