アルパカ・スリのスリってなんなの?

05 20, 2017 | Tag,生物,雑記,アニメ

画像はアルパカ・スリ: File:Suri-alpaca.jpg


けものフレンズの人気キャラ、アルパカ・スリ。アルパカにはスリとワカイヤの2種類がいて、けものフレンズにもスリとワカイヤの2種類がいて、アニメ出演を果たしたのはスリのみ。そのためにスリとワカイヤの間に軋轢を生んでいるとかいないとか。どういうことかというと、スリの方が圧倒的に希少種であり、おそらく日本には一般に公開されているスリはいない。にもかかわらずけものフレンズ人気にあやかってアルパカ・ワカイヤとアルパカ・スリを関連づけた集客戦略がまかり通っている。

たとえばニコニコ動画では「よぉこそぉ↑アルパカさん56時間生中継@サンシャイン水族館【今月のいきもの】」と銘打ってアルパカ・ワカイヤを生配信。嘘ではないが、「よぉこそぉ↑」はアニメ版アルパカ・スリの口調だ。また東武動物園の「『けものフレンズ』コラボレーション企画!〜とうぶフレンズに会いに行くのだ!〜」ではアルパカ・ワカイヤの奥の柵にアルパカ・スリのキャラクターパネルを設置する事案が発生した。

スリとワカイヤはせいぜい毛の質が違うという程度なのでまとめてアルパカと呼ぶことに抵抗はないのだが「けものフレンズ」の世界感では両者は区別されているのだ。それに両者は素人でも簡単に区別がつくのだ(毛刈りがされていなければ)。ここでスリについて学んでおこう。



スリとワカイヤの違い

刈ってあるとわかりにくいけど、毛が長い状態ならば楽勝で見分けられる。荷物持ってても楽勝。ワカイヤはモコモコ。テディベアみたいにモコモコ。一方のスリは毛がテカテカしていてモップ状の房になってわさわさと垂れる。そもそも日本で見たアルパカなら全部ワカイヤだと思って間違いない。

スリは世界のアルパカ人口のうちの10パーセント以下だと思われる。アルパカ繊維生産の90パーセントがペルー、その中の6パーセントがスリ。世界全体のアルパカの中で15万頭がスリ。最近ではニュージーランドやオーストラリアにスリが増えているとも聞くが、日本で見られるという話は見つけられなかった。スリの中で57.3パーセントが白。これは染色しやすいので白が好まれるためだが、好ましい状況ではないらしい。つまり種のレジリエンス(耐久力、復元力)を低下させるからだ。

スリの毛の方が高級で、自然の繊維としてはカシミアなどと並びもっとも高級な物の1つ。シルクのようになめらかで光沢があり、保温性に優れる。ツルツルすぎて手で紡げないので、手で紡ぐ際には綿花を混ぜるという話もあった。一方ワカイヤは丈夫で育てやすい。スリはワカイヤほどアンデスの高地に適応していないらしい。

歴史

南米では6000年前からラクダ属の家畜化が行われていたという考古学的な証拠が存在する。その後3000年前からは繊維目的の品種改良がおこなわれるようになった。ちなみにビクーニャ属(アルパカを含む属)とラマ属(使役目的の家畜)が近縁であることはわかっているが具体的なつながりはわかっていないらしい。

とにかくアルパカ生産は15世紀のインカ時代に絶頂期を迎え、その繊維は貨幣に近い価値を持ったともいわれている。「スリ」という言葉はすでにこの頃に存在しており、インカの王族にのみ許された繊維だったと言われている。儀式によりミイラ化されたアルパカ、つまりインカ時代のアルパカが見つかっており、これは現存するどのアルパカよりも良い毛質を持っていたのだそうな。

しかしその後、スペインの侵略を受けて後はアルパカ人口は10パーセントまで減少した。質は良かったものの旧世界の羊毛や綿花の方が生産性が高かったのだ。アルパカはアンデスの山岳地帯へと追いやられ、特にスリはアンデス山脈の西側にのみ残り絶滅寸前だった。20世紀の頭にはペルー、ボリビア国境のケチュア人、アイマラ人がわずかに保有するのみとなっていたそうな。

その後1900年代からアルパカの繊維は見直されはじめ北米でも育てられるようになった。1990年代に入ってようやくアルパカ・スリに注目するアメリカ人が現れ、積極的な生産と品種の保存、改良がおこなわれるようになった。

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元バックパッカーの引きこもり、世界に飛び出す引きこもり。当初は役立つ情報を、と思っていたんだけど自分の興味しか書けないね。

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